申し込もうか迷うときに

申し込もうか迷うときに

いろいろなところに学生相談室の案内が出ていて、どうぞご予約をお待ちしていますと呼びかけています。でも、いざ申し込む前には、ためらったり不安に感じたりすることがあるのではないかと思います。

 カウンセラーというけどどんな人なのか
 このくらいのことでと思われないか
 知人に出くわしたらどうしよう
 うまく話せないかもしれない
 親や先生に連絡されたりしないだろうか
 頑張りが足りないと言われないか
 何か意見を押し付けられないだろうか
 相談室に行くのは自分の弱さなんじゃないか
 そもそも申し込みの電話自体が不安・・・

悩みやつらさは、その人固有の経験に基づくその人固有の気持ちなので、他者と比較してなだめようとしたり過小評価しようとしたりしてもほとんど意味をなさないことは、皆さん実はなんとなくご存知ではないでしょうか。カウンセラーは、たくさんのご相談をお受けしてきましたが、それぞれの学生を比較するということを自然としないように、どうも思考の仕組みとして、そうなっているように思います。比較しようがないからです。目の前の人の言葉には、その人ならではの文脈や感じ方があり、その人に合った対処法や進み方があり、それらは人によって異なることを、知っているからです。

相談室で知人に会わないかという心配に対しては、できるだけの配慮はしています、としかお答えができません。誰と誰が知人なのかわからないので、同じ時間の待合室で一緒にならないかと言われれば、まあそういうこともないとは言い切れない・・・のですが、一度に待合室にいるのは多くても数人ですし、大きな声でお名前をお呼びしないようにもしています。開始時間ちょうどにおいでいただいた場合は待合室に行かずにそのままお招きできることがありますし、学生相談室があるフロアは、普段から人の通りがあまりありません。

相談室に行ったことや、話した内容が、勝手にどこかに連絡されたりしないのかという不安については、ご本人の了承なく情報提供はしませんというお答えになります。言ったほうがよい方向に向かうのではないかと思えるときは、誰に対してどの部分を、どんなふうに伝えるのがよさそうか、ご本人の状況や意向をよくお聞きして、一緒に話し合ってから慎重に決めます。心身や命の緊急事態と判断される場合は例外ですが、初回においでいただいたときに守秘義務についてのご説明をしてから始めますので、気がかりなことがありましたらどんなことでも教えてください。

でもそもそも申し込みの電話をすること自体にハードルを感じる場合もありますね。何を聞かれるのか、見通しが持てないときに不安になるのはもっともなことですので、以下に流れをお伝えします。最初に「予約をしたい」と伝えると、【初めてか/前に利用したことがあるか】を聞かれます。

◆利用したことがある場合
基本的には前と同じカウンセラーの予約日時をご案内するため、【お名前】と【担当カウンセラー】をお尋ねします。担当者の名前を思い出せない場合はこちらでお調べするので大丈夫です。あとは【日時の調整】です。近い日時が埋まっている場合もあるので、早め早めで連絡をいただければと思います。【最後に来たのがいつ頃か】をお尋ねする場合もあります。あらためて申し込みカードを書いていただくかどうかを判断するためですが、いつ以来かはっきりわからなくても構いません。これで電話は終わります。

◆初めての場合
【お名前】と【学籍番号】をお尋ねします。筑波大学の学生であることの確認です。そして【電話番号】を、相談室やカウンセラーの都合で万が一予約の変更をお願いしなければならない事態になったときのためにうかがっています。【日時の調整】は、希望の日や時間帯、通いやすい曜日などがありましたらお伝えください。それと、ここが一番心配なところかもしれませんが、【どんなことで】今回利用を思い立ったか、ごく短くおうかがいしています。勉強や生活のこと、人間関係、進路や就活の迷い、意欲が出ない、不安、など一言で構いません。何かこちらで準備しておけたらよさそうなことがあるか参考にさせていただくためではありますが、カウンセラーがどんな人かまだわからないし、電話で簡単になど話せない、抵抗があるという気持ちはもっともです。どこまで何を話すかの線引きというのはこれからもぜひ大切にしてほしい感覚なので、無理のない範囲でお願いします。あとは、最初の時に書いていただきたい申し込みカードの説明などをお伝えして、電話は終わります。ほんの数分です。

いかがでしょうか。少しイメージがつきますか。

申し込むまでのたくさんの逡巡や挫折感や不安を越えて申し込んでくれたこと、行き詰まったときに相談をするという選択を取ることのできる強さを持っていること、それらに思いをめぐらせながら、おひとりおひとりをお迎えしたいと思ってお待ちしています。

限りのある大学時代、せっかく身近にある機会です。何年生でも、休学中でも、使える場所です。うまく言葉にできなくても構いません。困ってはいないけれど、なにかもう少し自由になりたいときや、もう少し成長したいというときにも使えます。あるときキャンセルして以来の人や、以前使ったことがあるけど再び行くか迷っている人も、お気兼ねなく、どうぞまたおいでください。

学生相談室カウンセラー(杉村)